管理栄養士のローカーボ・キッチン

アミノ酸と血糖値の上下を整理する


栄養素と血糖値に関して、
米国糖尿病学会は
「血糖値に直接影響を与えるのは糖質だけであり、
たんぱく質・脂質は直接影響を与えることはない」としています。

たんぱく質は、
間接的には血糖値を上げる場合があるということです。

逆に、
たんぱく質(イソロイシン)は、
血糖値を下げる作用があるという報告もあります。
http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2015/01/86-03-07.pdf#search=%27アミノ酸+イソロイシン+血糖%27

たんぱく質を構成しているアミノ酸の種類の中で、
イソロイシンは、
肝臓での糖新生の抑制、
筋肉への糖質の取り込みの促進によって、
血糖値の低下作用があるようです。

乳タンパク質(分岐鎖アミノ酸を含有する生理活性ペプチド)は
インスリン分泌を刺激し、結果、
血糖値を低下させると報告されています。

たんぱく質を構成しているアミノ酸の種類の中で、
リジン、ロイシン、アルギニンなども
インスリン分泌を刺激します。
「米国ミネソタ大学の研究で、
タンパク質(分岐アミノ酸)は血糖値を高めないが、
インスリンの分泌を高めることが報告されています。」
Metabolic response of people with type 2 diabetes to a high protein diet.


ならば、乳たんぱく質同様、
インスリンによって、
血糖値は低下するのではないかと思うのですが、
インスリン(血糖値を下げるホルモン)に依存した血糖の動きの場合、
インスリンの拮抗ホルモンである
グルカゴン(血糖値を上げるホルモン)の作用によって、
血糖値の上げ下げは総裁されることもあると考えます。

それなのに、
血糖値が上がるとしたら、


グルカゴン(血糖を上げるホルモン)の分泌が、
インスリン(血糖を下げるホルモン)の分泌量より上回った場合か、


アミノ酸摂取による糖新生の促進が、
内因性のインスリン分泌量を上回った場合か、

ということが考えられます。

糖新生による血糖上昇は、
内因性のインスリン分泌がほとんどない
1型糖尿病の方や
内因性のインスリン分泌が少なくなっている
2型糖尿病の方でも、起こります。
とくに、
毎晩訪れずプチ絶食期間とも言える就寝が明けた、
早朝空腹時に起こりやすいです。
暁現象と言われます。

1日、何食がいいか、という議論がありますが、
日常、絶食が長く続く状態を続けるのは、
あまり、よくないと考えます。

とくに朝は、絶食明けですから、
仕事や学校など活動する方なら、
卵や豆腐など、
食べやすいタンパク質系食品を
スープやみそ汁など温かい食べ方で、
体内から体温を上げ、
エネルギー必要量や肥満の有無に応じて、
季節の果物や
かぼちゃ、芋、にんじんなど
βカロテンやビタミンCも豊富な
糖質の多めの野菜などから
良質な糖質でエネルギーを添えるという手もあります。

糖新生に欠かせないボリュームのある筋肉と肝臓も、
わたしたちの生命をかたちづくるためには、
アミノ酸が欠かせません。

わたしたちのからだは、
筋肉も肝臓も、膵臓も、血管も、骨も、脳も、
すべて1年もたてば、
分子レベルで新たに置き換わっていること、
私たち生命体は、
たまたまそこに密度が高まっている
分子のゆるい「淀み」でしかないこと、
これを動的平衡と言い、
この流れ自体が「生きている」ということは、
福岡伸一先生の
『動的平衡』に書かれているアミノ酸の特徴だと考えます。


たんぱく質の豊富な食品を、
どのくらい摂取すると、
どのくらい血糖値が上げるかは、
個人差があると考えますが、
いずれにしても、
普段の食事でタンパク質の豊富な食品を通常食として摂取する場合、
糖尿病など血糖調整機能がうまくいかない方であっても、
食後高血糖を起こすほどの上昇とは考えられません。

そして、
アミノ酸別に、
さまざまな研究がなされることで、
イソロイシンのように、
インスリンに依存することなく
血糖値を低下させる作用が発見される場合もありますが、
わたしたちは、普段、
サプリメントを使用しない限り、
イソロイシンだけなど、
単独のアミノ酸だけを摂取することは、
食事からでは現実的にはあり得ません。

インスリン分泌を高めるタンパク質(分岐アミノ酸)を摂取することで、
血糖値が上がる方の場合は、
分岐アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)は、
肉、乳製品に豊富なので、
肉と乳製品しか食べない、
という極端な糖質制限食の実践は避けておいた方が無難だと考えます。

魚介には、肉からは摂取が期待できない
ビタミンDやEPA、DHAが、
大豆製品からは、
高血糖の状態が長く続いていた方に不足しがちな
マグネシウムやカリウムが含まれます。

いずれにしても、
タンパク質の摂取にも気をつけないといけないほど
血糖コントロールが難しくなる前に、
予防医学の観点から、
正しい栄養の科学、
つまり、
人類食=糖質制限食の知識を広め、
早いうちから実践しておくことと、
そのような環境づくりが急務だと、改めて痛感します。
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コメントコメント


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いつも楽しく拝見し、勝手ながら勉強させて頂いていました(江部先生や、皮膚科のあいこ先生のblogなどを見ているうちに、どういう流れか忘れましたが大柳さんのblogにたどり着きました)
糖尿病予備軍のため糖質制限しています。
糖質を取っていない食事後でも、ごくたまに眠気が来ることがあり、ひょっとしてタンパク質の摂りすぎ、インスリン分泌、糖新生により、結果的に糖質を取った時とおなじように、場合によっては食後低血糖を起こしているのでは?
と思い大変不安になっていました。
ただ、私自身、専門的な知識は全くなく、図書館で先生方の本を借りる程度です。
今日のテーマが悩んでいたことにぴったりだった気がして思わずコメントしました。
ポイントがずれていましたらすみません。難しいです。。。。
「朝昼晩ごちそうレシピ」参考にさせて頂いています!!

みーこ | URL | 2017/01/18 (Wed) 13:19 [編集]


Re: タイトルなし

みーこさま
コメント、有難うございます。
タンパク質でも血糖値が上がるかどうか、
その結果、
インスリンがどのくらい、いつ、どのようなタイミングで追加分泌され、
どの程度、作用できるか否かなど
とても個人差が大きいように感じています。
いずれにしても、
砂糖、ブドウ糖果糖溶液などの不自然な甘味料や
そのような甘味料を使った飲料の常飲をはじめ、
パンだけ、カップ麺だけ、おにぎりだけなど、
精製穀物(もれなく植物油も入っているような)の加工品の単品摂取は、
子どもの頃から、
避けておきたいものですね、、。
これからも宜しくお願いいたします!

tamami oyanagi | URL | 2017/01/24 (Tue) 11:50 [編集]


 
 

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