管理栄養士のローカーボ・キッチン

カロリー制限の弊害 〜量から質へ〜

先日、医療関係者向けの講演会で、
糖質制限食の栄養指導について、
お話させて頂きました。

やはり、
糖尿病でも、肥満でも、
カロリー(量)を制限する
という食事療法が、
現在の医学、栄養学の基本です。
ところが、わたくしは、そうではないと考えます。

さらに、
糖質制限食の弊害ばかりが
マスコミや学会で叫ばれる中、
カロリー制限の弊害を考察した、
わたくしのマックMobileMe時代のブログのアーカイブより、
再掲載します。



一般的な栄養学では、
基礎代謝に見合うカロリー計算を基本としてものを考えていきます。

糖質、脂質、たんぱく質の3大栄養素のうち、

糖質とたんぱく質は1g、4kcal、

脂質は1g、9kcalのエネルギーを発生させると。

しかし、たんぱく質はエネルギーとなる前に、
からだの構成成分の材料として優先的に利用されるということを
忘れてはなりません。

例えば、食べた物を消化する消化液も、
インスリンというホルモンも、
もちろん、筋肉、血液も、すべてたんぱく質から作られます。

そしてもうひとつ大事なことは、
たんぱく質は蓄えられない、という特徴を持っているということです。

ルドルフ・シェーンハイマーという科学者は、
生命が「動的な平衡状態」にあることを示し

「私たちが食べた分子は、瞬く間に全身に散らばり、
一時、緩くそこにとどまり、次の瞬間には身体から抜けて出て行く」

ことを証明しました。(「生物の無生物のあいだ」福岡伸一)

だからこそ、私たちは、
肉、魚、卵、大豆・大豆製品など
他の動植物、つまり別の生物が作り出したたんぱく質を食物として摂取し、
生体内で自らが必要とするたんぱく質に日々、合成し直していく必要があるのです。

私たちが食物を食べる目的のひとつは、たんぱく質の摂取と言っても過言ではありません。

ところが、現在、日本における一般的な栄養学の考え方では、
たんぱく質もカロリーに換算して考えてしまうため、
一般的な糖尿病食やダイエット食などカロリー制限食では、
結果的に、カロリーの高い肉や魚などたんぱく質系食品の摂取量が少なくなり、
低たんぱく(アルブミン)症や骨粗鬆症を引き起こすことが指摘されています。

油の乗った魚も、
カロリーが高いという理由から食べる量を控えさせられるそうで、
(カロリー制限食の糖尿病食では、さんまは1尾、食べれないとか!!)
そうなると必須脂肪酸(魚油)の不足も懸念されます。

必須栄養素の不足は、ヒトにとって致命的です。

すべてカロリーに換算するカロリー計算の弊害を認識し、
ヒトの食の本質を見失わないようにしなければなりません。
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コメントコメント


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先生こんにちは!先日上梓された本が届き、いろいろ試してみたいものがたくさんで作るのが楽しみです

今回の話で思い出すのは次男を妊娠中のことです
当初かかっていた産科医は小さく産ませる方針で、体重増加が気になる妊婦へ一日○○kcalまでと指導をし、カロリーメイトでも食べて調整しなさい、ということで違和感を覚え転院しました
カロリーさえ抑えたら赤ちゃんの生育に必要な栄養は二の次か?って疑問が拭えなかったんですよね

また、高齢者へのカロリー制限・高タンパク抑制の考え方にもおかしさを感じました
97歳で逝った祖父は高齢になっても大の肉好きで、晩年になっても爪は厚く丈夫でした
そして肥満でもありませんでした

哺乳類でこんなに糖質を摂っているのって、人間ぐらいじゃないでしょうか?

caorita@日傘出動 | URL | 2013/06/06 (Thu) 13:49 [編集]


Re: タイトルなし

caorita@日傘出動 さま

> 先生こんにちは!先日上梓された本が届き、いろいろ試してみたいものがたくさんで作るのが楽しみです
有り難うございます!!
8〜10ページの
肉の下処理、魚の下処理
18〜19ページの
万能調味料の作り方
おすすめです!

編集者のリクエストで、
ボリュームを出して欲しいとのことでしたので、
ボリュームたっぷりですので、
量は調整ください。
わたしは、だいたい、写真の半分か1/3ほどしか食べれません。

妊娠中や高齢者のカロリー神話による
栄養不足は深刻ですね、、
小学校給食の
一律、牛乳1本も、
とくに小食の子どもや低学年の子どもは、
それでお腹いっぱいになってしまって、
育ち盛りに肝心の
おかず=たんぱく質が少ないもの問題ですね、、。

> 哺乳類でこんなに糖質を摂っているのって、人間ぐらいじゃないでしょうか?
そう思います!

tamami oyanagi | URL | 2013/06/07 (Fri) 07:54 [編集]


先生、わたしたちのように、糖質制限しているものへ「意志が強いからできるのよ」とよくいわれます。
とうの本人は「私は血糖の薬をを飲んでいるから大丈夫」といったりします。
糖質と血糖の関係をどんなに説明しても、素人の私の意見は、たかがしれています。
医師が、それを説明すれば、おそらく彼女たちも、素直にカロリー制限同様にトライするだろうと思うと、はがゆいです。
でも、先生のなさっている努力がいつの日か、実ることを祈ります。
応援します。どうぞ、旗をずっとふっていてください。

hikidashi | URL | 2013/06/07 (Fri) 09:03 [編集]


動的平衡

福岡伸一著書「動的平衡」を以前に面白く読みました。が、こんなふうに改めて、たんぱく質のことを説明していただき、とってもスッキリしました。流石です。ありがとうございました。

oyasam | URL | 2013/06/07 (Fri) 14:42 [編集]


Re: タイトルなし

hikidashi さま
コメント、有り難うございます。
そうですね、伝えたいのに伝わらないこと、
わたくしも多々、ございます。
もどかしいというか、無力感を学習することも、、。
最終的には「常識の壁」を超えるのは、
本人にしかできないことでしょうかね。
食べることも、食べないことも、
その本人にしかできない行為のように。

> でも、先生のなさっている努力がいつの日か、実ることを祈ります。
> 応援します。どうぞ、旗をずっとふっていてください。
有り難うございます!嬉しいです。心強いです。
共に、旗を振って下さい。

tamami oyanagi | URL | 2013/06/08 (Sat) 05:29 [編集]


Re: 動的平衡

oyasam さま
コメント、有り難うございます。
福岡伸一先生の著書はほんとうにわかりやすく、
文章も美しく、
愛読しています。

tamami oyanagi | URL | 2013/06/08 (Sat) 05:31 [編集]


はじめまして。
一つ質問をさせていただきます。
以前読んだ本の中に、蛋白質(アミノ酸)は筋肉に合成されている物については同化と異化を繰り返しており、3ヶ月程で身体中のアミノ酸は全て入れ替わる。
その際、窒素は尿中から排出されるも、アミノ酸は捨てられる事なく糖新生され(ケト源アミノ酸は脂肪酸の減量に)エネルギーとして消費される。と書かれてた気がしたのですが間違いでしょうか。?
からだの構成成分の材料として優先的に利用されるも、ターンオーバーつまり炭素骨格代謝を経て、最終的にエネルギーとして消費される。
だからこそ4キロカロリーなんだと思っていました。

D,N | URL | 2013/07/01 (Mon) 10:26 [編集]


Re: タイトルなし

D,N さま
ご質問、有り難うございました。

なかなか高度なご質問で、
お返事は遅くなりまして失礼致しました。

知り合いのドクターなどにもご教授頂きましたろところ、

> からだの構成成分の材料として優先的に利用されるも、ターンオーバーつまり炭素骨格代謝を経て、最終的にエネルギーとして消費される。
> だからこそ4キロカロリーなんだと思っていました。

およそ、その通りで、
たんぱく質は、
食物の化学的エネルギーとして計算上は
なるときには1g4kcalのエネルギーにはなるが、
状況によって
すべてなるわけではない。
とういうことです。

カロリー供給が十分で、
効果的にタンパク質(アミノ酸)の補充がおこなわれると
筋量が増えますが、
そのときにはタンパク質はカロリー源とはなりません。

おかげさまで
わたくしも昨日は、
「ヒューマン・ニュートリション」などで勉強しておりましたが、
タンパク質代謝、
複雑というか、
タンパク質に限らないのでしょうが、
栄養の代謝は、
複雑で神秘的で面白いですね。
ニューマンニュートリション、
ちょっと大きくて高価な本ですが、
ご参考までに。

tamami oyanagi | URL | 2013/07/03 (Wed) 07:29 [編集]


 
 

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