管理栄養士のローカーボ・キッチン

限界を知る

糖質制限食の広がりとともに、
油脂の摂り方、
たんぱく質の摂り方など、
コレステロールの考え方、
さまざまな栄養の摂り方について、
語られたり、
話題になったりする領域が増えたような気がしています。

動物性脂質よりも、
植物油が危ないよ、
と問題提起された
奥山浩美先生の
「本当は危ない植物油」はセンセーショナルなものでした。

それ以前にも、
「糖化」という視点から、
糖質の摂り過ぎを指摘された科学者もおられました。
糖化を防ぐためには、
そもそもの糖質の摂り過ぎに加え、
糖質が焦げたものを摂る事もよくないため、
しょうゆや、みそ、ソースなど
ほとんどの調味料が使えなくなることと、
焼き肉も、焼き鳥も、焼き魚も、つまり焦げたものはNGという理論です。

ヒトの代謝のメカニズムから、
科学的に考察した結果、
1)糖質を摂取し、血糖値を日に何度も上げることことも、
2)植物の油を液体で、頻繁に摂取することも、
ましてや化学的に合成したトランス脂肪酸の摂取も、
3)焦げを経口摂取することも、
不自然であることは、事実なのだと考えています。

3)を主張する方が、
糖質制限食を批判する記事を目にするときがあります。
糖質さえ制限すればいいということで、
焼き肉やステーキ=焦げを食べることになるから本末転倒だと、
こういう主張です。

しかし、
1)も3)も科学的な事実であるとするならば、
焼き肉やステーキといった食べ方、
つまり文化的なステージから、
あくまで食べ方を考察すべきであって、
糖質制限理論を否定する理由にはなりません。

そのようなことをふまえ、わたしは、
1)に関しては、
とくに糖尿病の方が、
薬では解決できない、
今、目の前にある合併症の危機を、
糖尿病を発症して平均寿命までの数十年間の間、
回避するための手段として、
主食を抜く、
というのは、比較的、不自由なくやれると思うのです。
もちろん、無理だ、という方もおられますので、
そういう方は、お薬を上手に使って主食を食べる食事療法を選ばれればいいと思います。

次に、
2)の油脂ですが、
トランス脂肪酸に関しては、
マーガリンやショートニングが使われていない、
ノンオイルだったり、バターを使ったパンや菓子類も、
比較的、探せば、選べます。

液体の油を使用する場合、
オレイン酸の豊富なオリーブ油を使うという手もあり、
酸化を防ぐ上では、
生食するという手も、比較的、簡単に取り入れられます。

お肉は、炒めず、茹でるや蒸すなどの調理法で加熱し、
食べる直前にオリーブ油と和えれば簡単です。

わたし自身は、オリーブ油も、最近は使いませんが
アボカドやオリーブの実は、サラダなどによく頂きますし、
炒りごまも、練り胡麻も、魚も食べますし、
バターを風味づけに使うこともあるので、
サラダ油やドレッシングなど液体から摂らずとも、
ノンオイル生活とは無縁です。

最後に3)の焦げに関して、
人の代謝からみて、
科学的に不自然な事実だからといって、
いっさい、とらない、
ということができれば、その人はそうすればいいと思います。
味噌もしょうゆ、ソースもオイスターソースも使えませんが、
塩は使えます。
焼き肉も焼き鳥も食べれませんが、
茹でたり、蒸したりという調理法は取り入れられます。
しかし、外食はほとんど不可能。中食も不可能でしょう。
3食、自炊できる方しか実践が難しいかもしれません。

いずれにせよ、
科学的事実を知った上で、
塩梅を、どこでつけるのか。

実践ということを考えると、
限界もあるのだという認識が必要かもしれません。

いろんな状況や、
糖尿病なのかそうでないのかなど病態を天秤にかけて、
なにを優先するか、
その都度、選択していくことが求められます。

科学的な事実に加え、
遺伝子組み換えや農薬、食品添加物の善し悪しなどもからんでくると、
さらにややこしい。

完璧を突き詰めると、
現代社会で食べられるものは、
ほとんどないか、
非常に不自由なものになります。
それこそが
ヒトの食=栄養なのかもしれませんが、
しかし、我々は、
文化をもった人間ですから、
栄養という間違いない科学的な観点だけでなく、
食の楽しみという側面も、
おざなりにはできないと思います。

悪いものはいっさい、とらない、
あるいは、
悪くたって好きなものしか、とらない、
など、
極端なことができる方、
極端なことしかできない方、
そういう方は、
あまり多くないと思うので、
普通の方は、
科学的事実を知った上で、
自分のライフスタイルや嗜好も考慮しながら、
限界も知りながら、
どこまでを許すか、
病気になるほど食べ続けない工夫が必要です。
そういう意味では、
科学の実践にもっとも必要なのは、
センスなのかもしれません。
ここが、いちばん、難しいところだなと痛感することだらけですが、
スマートに、おいしく交わしていきたいものですね。
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コメントコメント


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お久しぶりです

色々なことを考えると何も食べれなくなります。糖質制限食で12kgの減量はできました、それは良かったと思っています。しかし、極端な事を考えると何も食べれなくなります。私は、糖尿人ではないですが、これからも糖質を考えながら食育を頑張りたいと思っています。皆さんも一緒に頑張りましょう!

masami | URL | 2013/10/26 (Sat) 00:04 [編集]


本当にそうですね
食に関して言うと海外の方とベジタリアンについても話すことがありますが、私は個人の判断と責任でやるには強制されないならアリだと考えているので、糖質制限についても最近そのへんに落ち着き出しています

どんなに原始的な生活をしたって人体に不都合なものは完全に排除はできないと思いますし
食べることでも精神的な喜びも得るという点からも、折り合いをつける、非常に現実的で継続可能な考え方だと思います

caorita@断酒 | URL | 2013/10/26 (Sat) 11:51 [編集]


Re: お久しぶりです

masami さま
食育、大事ですね。
日本人は主食はごはんだから、
みんなで米を作ろう!とか、
家族みんなで食卓を囲もう!とか、
情緒教育ばかりが盛んですが、
ヒトの食というその根っこには、
栄養という科学があることも情報発信していきたいですね。

tamami oyanagi | URL | 2013/10/28 (Mon) 07:27 [編集]


Re: タイトルなし

caorita@断酒 さま
黒か白か、は、分かりやすい思想ですが、
中庸というかグレーを保っていきたいなと、
いろんなところで感じてします。
これが難しいですけど、、。
そういえば、、体調、万全ですね!

tamami oyanagi | URL | 2013/10/28 (Mon) 07:29 [編集]


 いろいろ考えなければいけないことが多いのですね。
 考え過ぎてもいけないのですが・・・・

>科学の実践にもっとも必要なのは、
>センスなのかもしれません。
>ここが、いちばん、難しいところだなと痛感すること>だらけですが、
>スマートに、おいしく交わしていきたいものですね。

 とても、共感いたします。

今後も、情報の発信・問題提起をよろしくお願いいたします。

わんわんこと・板橋 長谷川 | URL | 2013/10/30 (Wed) 07:50 [編集]


Re: タイトルなし

わんわんこと・板橋 長谷川 さま

コメント、有り難うございます。
これからも、
実践のところで、ご一緒させて頂けましたら幸いです。

tamami oyanagi | URL | 2013/10/30 (Wed) 18:26 [編集]


 
 

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