管理栄養士のローカーボ・キッチン

糖質制限食と栄養士の役割

2006年から、
糖質制限理論を用いた、
医療機関での栄養指導をはじめ、
雑誌や書籍、
また、講演会などを通じ、
糖質制限食の実践方法について、
情報発信につとめています。

当時に比べると、
糖質制限理論は、
この数年とくに、
急速に広がったと感じています。

しかし、それでも、
それ故に?
わたし自身、
同じ栄養士から批判的な意見を受けることも、
少なからず、あります。

その都度、
正しく伝えられるときは伝えてきましたし、
匿名のご意見に関しては、
背景がわからないものもあるので、
理論をお伝えできないときもありました。

最初の頃は、
何度伝えても伝わらない、
まるで、
無力感を学習するような
絶望的な感覚におそわれたときもありましたが、
それでも、これしかない、という、
糖質制限理論に関する確信は、
揺るぐ事はありませんでした。
もちろん、今も。

なぜなら、どう考えても、わたしは、
少なくとも糖尿病治療の現場では、
学校で学んだことであり、
学会がそう言っているから、
とはいえ、
エネルギー制限食に治療によって、
つまり、
穀物と野菜たっぷり、
お肉や油控えめの食事を指導した糖尿病の患者さんが、
失明、透析、足の切断などの合併症へと進むとしたら、
恐れ、戸惑い、
そして
学校で学んだ事や、
学会の指針に、
疑問を感じずにはいられません。

糖尿病だから、
合併症は、
仕方ないこと、
ではありません。

それも
糖質制限理論が証明してくれました。

我が家の糖尿人も、
勤務するクリニックの糖尿病の患者さんの多くも、
糖質制限をすれば、
合併症の進行は止まり、
糖質を摂らない限り、
血糖値は、基本、正常範囲に戻ります。

血糖値だけでなく、
肥満がある方は、みな体脂肪が減り、
中性脂肪と血圧も下がります。

これらはすべて、
生活習慣病によくないとされている数値でもあります。

つまり、
糖質制限食は、
糖尿病だけでなく、
その他の生活習慣病のリスクも下げるとも言えます。

ヒトは、
毎日、
何度も、
血糖値を上げるほど糖質を摂り、
その度、
インスリンを追加分泌できるほど、
消化管機能は、
まだ進化できていないことは、
イギリスの栄養学の大著、
「ヒューマン・ニュートリション」にも明記されています。

とてもシンプルな、
生理学の事実です。

それでも、
糖質制限理論を受け入れないパターンとして、
大きく2つあるように感じています。

ひとつは、
長期エビデンスがないから。
というもの。

エネルギー制限食に比べて、
結果的に、
たんぱく質と脂質の摂取が増えることの不安、
というものです。

しかし、ヒトは、
400万年近い進化の過程で、
たんぱく質と脂質で進化しているという事実があります。

そういう意味では、
たんぱく質と脂質の質も、
重要であると考えます。

肉や魚をたべるつもりで、
例えば、
スーパーやコンビニの
肉や魚の加工品は食べていません。

狩猟採集時代に戻れるわけではなく、
現代社会で行きていくうえで、
加工品の、
何を許容し、
どのくらいの利用なら許容でき、
どこからは許容できないかは、
個々人で、
その都度洞察し、
ハンンドリングできる感性が重要になってくると思います。

脂質も同様です。
ヒトは、進化の大半、
サラダ油やトランス脂肪酸のような、
化学的に作られた脂質は摂っていません。

このような、
たんぱく質と脂質の「質」を、
現代社会でどう確保していくかは、
重要な課題となりますが、
たんぱく質と脂質を摂取してきたという
「量」に関するエビデンスは、
狩猟採集時代の方が、
農耕時代よりも長いわけですから、
その証拠に、
脂肪悪玉説をくつがえす論文の数々は、
日本の、
糖質制限理論の第一人者である
江部康二先生のブログや著書にも、
ほぼ、毎日のように繰り返し、新しく、
出ています。

たんぱく質(量)に関しては、
日本の食事摂取基準にも
上限量は決められていません。


もうひとつ、
医療機関者が、
糖質制限理論を受け入れないパターンとして、
どうせ実践できないでしょ、という
「解釈」によるものです。

主食を抜くなんて、
患者さんができるわけないでしょ、
無理でしょ、
という個人の解釈は、
糖質制限理論を否定する理由にはなりません。

糖質制限理論、
つまり、
人類は何を食べてきたか、
とか、
血糖値を上げる栄養素は糖質だけ、
とか、
糖尿病の患者さんは、
どんなにエネルギーを制限しても、
糖質を摂取したら血糖値は上がる、
などは、
事実です。

でも、実践できないでしょ、

個人の解釈です。

別ステージの話です。

できるか、
できないかは、
やる側の判断です。

無理な人もいれば、
できる人もいるし、
できる人でも、
無理な時もあるわけです。

無理な人でも、
できる時もあるかもしれません。

そして、
長期エビデンスの話に戻りますが、
そもそも、
80年前後の人生の中で、
例えば、
50歳で糖尿病を発症し、
その後の30年は、
長期エビデンスの「長期」になるのでしょうか。

とくに、
糖尿病の方には、
発症して、
平均寿命までの何十年間か、
SU剤や透析にかかる
精神的負担や、
医療費削減のためにも、
少なくとも糖質制限を望む患者さんには、
糖尿病治療の食事療法の選択肢のひとつとして、
採用できないものかと思います。

おつき合いや食べたいときなど、
糖質を食べるときだけ、
お薬やインスリン注射を上手に活用していく、
ということもできると考えます。

そのような提案も含め、
今こそ、
栄養(科学)を、
食卓(文化)に落とし込む専門家である
栄養士の本領発揮の時だと考えています。

きっと、
栄養士を志した方々は、
患者さんの治療に、
あるいは病気の予防に、
食事(栄養)でお手伝いしたい、
という想いが強くあったと思います。

まずは科学を前提に、
患者さんの嗜好やライフスタイルなどもあわせ、
ロマンチックな発想で、
治療に役立つ食事の実践方法を患者さんとみつけ、
お伝えできるのは、
栄養士の大きな役割のひとつですから。
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コメントコメント


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「みんな」主食をしっかり食べなきゃいけない!!っていう教条にハマっているんです
根拠もあんまり持っていなくて、思考停止してる人ほどそういうことをよく言うのです・・・困ったもんです

高血圧なら、食事療法の一環で塩分を控えましょうと言われたら素直に聞くのに、血糖値が高いので治療の一環で糖質の摂取を減らしましょうと言われても、ハナからありえない!!ではなく、根拠のある提案であるという認識にまず立てるようになるまで、まだまだ時間がかかると思います(栄養士でも何でもないのにすみません)

影ながら、これからも応援いたします

今回だけ匿名希望 | URL | 2015/03/11 (Wed) 00:34 [編集]


古典的栄養学

健診結果の栄養指導をみると、
主食を中心としたバランスのよい食事、卵は控える、動物性脂肪を減らして植物性脂肪を摂取といった内容が書かれており、愕然とします。
生理・生化・栄養代謝が日々の研究で解明されているにもかかわらず、日本の栄養学がすごく遅れていることを日々感じています。

栗木安弘 | URL | 2015/03/11 (Wed) 08:44 [編集]


Re: タイトルなし

今回だけ匿名希望さま
コメント、有り難うございます。
まさに、「思考停止」ですね。
食が産業化される中、
ますます自分でものを考えることの大切さを、
痛感致します。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。

tamami oyanagi | URL | 2015/03/11 (Wed) 14:19 [編集]


Re: 古典的栄養学

栗木安弘様
コメント、有り難うございます。

> 生理・生化・栄養代謝が日々の研究で解明されているにもかかわらず、日本の栄養学がすごく遅れていることを日々感じています。
同感です。
ガリレオ・ガリレイではありませんが、
それでも地球は回っている
同様、
それでも糖質は良くない
と、
栄養について、
引き続き、考え続けていきたい思います。

tamami oyanagi | URL | 2015/03/11 (Wed) 14:23 [編集]


はじめまして

私は管理栄養士をしています。
ダイエット目的で糖質制限を初め、勉強し糖質制限の素晴らしさを知りました。
でも、確かに今の日本ではまたまだ理解されない部分が多いのを仕事をしながらも日々感じています。今、転職を考えているのですが、糖質制限を伝えられる職場も実際なかなかないですよね。
本当にもっともっと広がり、私もいつか仕事とした係われたらと思います。

はる | URL | 2015/04/13 (Mon) 19:10 [編集]


Re: はじめまして

はるさま
大変、心強いコメント有難うございます。
勉強会など何かございましたら、
こちらで案内させていただきます。
同士で集まれる機会が増えたらなと思います。

tamami oyanagi | URL | 2015/04/14 (Tue) 07:46 [編集]


 
 

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