管理栄養士のローカーボ・キッチン

常識と実感

爽やかな秋晴れが続いていますね。
昨日はまたまた、
神宮球場へ、
東都野球の応援に行ってきました。

みんな勝ち点を目指して、
一生懸命です。
一生懸命、日々、練習しています。
それでも勝負が決まってしまうアスリートの世界。
あと1秒、
あと1センチの差を生み出すもののひとつが、
栄養であると考えます。

スポーツ栄養の話は次回に。

今日は、
社会科学の観点から、
糖質制限理論を考えてみたいと思います。

血糖値をあげる栄養素は糖質だけ。
これは、単なる生理学の事実です。
糖尿病では、
血糖を下げるホルモンである
インスリンの分泌や作用の機能が破綻し、
うまく働かないため、
血糖を上げてしまうと、
高血糖の状態が続きます。
高血糖の状態が続くと、
血管内皮を傷つけ、
3大合併に代表されるよう、
さまざまな合併症を引き起こします。

このような機序をみれば、
糖尿病の患者さんにおいて、
大事なのは、
血糖を上げないことが基本であることが、
医療の専門家でなくてもわかると思います。

血糖をあげる栄養素はただひとつ。
糖質だけです。
カロリーではありません。
よって、
どんなに低カロリーな料理でも、
そこに糖質がたっぷり含まれていたら、
血糖コントロールは不可能です。

そこで、
糖尿病の治療において、
食事療法を行う際、
カロリー制限食では血糖のコントロールが不可能なため、
投薬やインスリンを注射して血糖を下げます。

カロリー制限食を用いる以上、
糖尿病のコントロールは
食事(栄養)では不可能であるわけですね。

投薬やインスリン注射が前提となるため、
現在の糖尿病の治療?に対する食事指導では、
糖質(主食)を食べなさい、と指導されます。
毎食110gなりのごはんは食べましょうね、と。
なぜなら、
投薬やインスリン注射ありき、
の治療では、
血糖値をあげるほどの糖質を摂取しなければ、
投薬やインスリン注射をしてしまうと、
低血糖になり、危険だからです。

しかし、
糖尿病の治療の目的が、
食後高血糖を防ぎ、
合併症の発症を防ぐことであれば、
そもそも、
血糖をあげるほどの糖質を、
なぜ、毎食、摂取しなければならないのか。

この単純な疑問が、わたくしが、
2006年に、
糖質制限論を学びはじめたきっかけのひとつです。

当時は、
今のように糖質制限理論が批判の対象にもならない、
ほとんど知られていないときで、
カロリー制限食という、
高く厚い常識の壁に
あたかも叩きつけられる卵のごとく、
糖質制限理論の有効性を発信すればするほど、
伝わらない、
取り上げてもらえない、
もう何を言っても無駄だと、
無力感を学習するような日々で、
そんなときに、
よく読んでいた本が
水田洋先生の
「社会科学の考え方」(講談社現代新書)です。

今もたくさん、ふせんが貼ってありますが、
そのひとつ、

18ページには、
実感と常識
検証抜きになりたつ常識
として、

常識はうそではないけれど、
ひろく承認されたときの、
諸条件が存在するかぎり、
条件が変化しない平穏無事な日常生活においては、
常識の権力は強力で、
それに反する実感は、
例外や虚偽としてしりぞけられてしまう、
という内容が書かれています。



しかし、
実感が常識に転化することもあるとして、
女性のミニスカートを例に、
ミニスカートが登場した際、
それは女性の服装についてのこれまでの常識には反したけれども、
道学者に多少のショックを与えただけで、
まもなく新しい常識に転化したとし、
権力である常識と、
個人の実感との食い違いが深刻になり大きくなると、
証明されずただ伝承されてきた常識よりも、
生身の実感のほうが、
正確であり強力であるように思われてくると考察されています。

糖質制限で、投薬を減らせたという糖尿病の患者さんや、
糖質制限で、失敗を繰り返してきた減量が成功できた方、
糖質制限で、だるさやイライラなど精神的疾患に間違われていた、
さまざまな不定秋暑が良くなった方など、
多くの実感が、
この10年で、
少しずつ、しかし確実に、増えてきているように感じています。

26ページには、
常識は支配者の味方であると書かれてあります。
常識が証明ぬきで通用することは、
そのまま支配者の利益になると。
そして、
実感はつねに孤独であるとして、
実感は、常識とちがって、それぞれ個人のものであり、
実感は大事であるが、出発点でしかありえず、
実感を伝達するための、
思考と方法へと、著書は続いていきます。

先日、クリニックで栄養指導の際、
糖質制限で見事に血糖コントロールを続けておられる方から、
大学病院の偉い先生から、
糖質制限食は科学ではなく宗教だと言われたとお聞きし、
どんなに悔しい想いをされたことかと、
胸が痛くなりましたが、
検証なしでなりたつ常識と違い、
実感の武器は科学です。

栄養の科学を基本に、
他人にべったりの自己喪失的思考でもなく、
他人無視の実感至上主義でもなく、
自分でものを考えていくことを心がけながら、
情報発信につとめていきたいと、
改めて強く、感じました。
スポンサーサイト

PageTop
 

コメントコメント


管理者にだけ表示を許可する
 

糖質制限食批判

いつもためになる記事、ありがとうございます。

>大学病院の偉い先生から、
 糖質制限食は科学ではなく宗教だと言われた。

なんとひどいことを言う医者でしょう。

きっとカロリー制限食が否定されると困ることになるからでしょう。

>常識の権力は強力で、それに反する実感は、
 例外や虚偽としてしりぞけられてしまう。

本当ですね。

糖質を50%~60%も摂ることを勧めるのには科学的根拠はなく、偉い人たちがこれまでの日本の食習慣をもとにコンセンサスで決めたと聞いたことがありますね。

SHUKAN | URL | 2015/10/21 (Wed) 20:48 [編集]


Re: 糖質制限食批判

SHUKAN さま

コメント有り難うございます。
あたかも天動説と地動説かのようにも感じますが、
それでも糖質は血糖を上げるという科学の事実を、
伝えていきたいと思います。

tamami oyanagi | URL | 2015/10/23 (Fri) 08:30 [編集]


皮膚科の常識

皮膚は塗り薬で治す。
これも常識のようですが、治りません。
権威者やメディアにより擦り込まれた常識はなかなか変えることは難しいようです。

栗木安弘 | URL | 2015/10/27 (Tue) 15:49 [編集]


Re: 皮膚科の常識

栗木先生
> 皮膚は塗り薬で治す。
> 権威者やメディアにより擦り込まれた常識はなかなか変えることは難しいようです。
ですね、、。
わたしは長年、塗り薬を塗り続けていましたが、なかなか治らず、
栄養を見直す根本的なアプローチで
嘘のように指のかゆみ湿疹がなくなったという実感があります。

tamami oyanagi | URL | 2015/10/30 (Fri) 07:21 [編集]


 
 

トラックバックトラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)