管理栄養士のローカーボ・キッチン

『ためしてガッテン』を整理する

先日、
NHKで放送された
『ためしてガッテン
追跡!糖質制限ダイエットの落とし穴』
の内容に関して、
いくつかご質問を頂きましたので、
本日は放映された内容をふまえ、
糖質制限について、
整理しておきたいと思います。


加工食品に頼ることが多い現代人は、
糖質=主食だけではなく、
缶コーヒーやペットボトルの紅茶、
カフェのラテ類、清涼飲料水やスポーツ飲料、
野菜ジュース、果物ジュースなど飲料からの摂取をはじめ、
調味料の甘み(砂糖や果糖ブドウ糖溶液)、
フライの衣、
惣菜のとろみ、
そしてハレの日のものではなくなった菓子の常食など、
糖質を摂りすぎやすい環境にあります。

イギリスやアメリカでは
砂糖は、
アルコールやタバコ同様に健康に有害であるとして
『砂糖税』なるものが導入され、
日本でも検討されているようです。


糖質を制限すると痩せるメカニズムは、
血糖を上げない間は、
人体は体脂肪をエネルギー源にするため、
効率的に体脂肪を減らせます。


そもそも血糖を上げるということは、
食後高血糖の弊害として、
国内外でさまざまな健康リスクが指摘されています。

「グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇は、糖尿病、環状動脈疾患、がん、老化など多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている」※1
・食後高血糖および負荷後高血糖は大血管疾患の独立した危険因子である
・食後高血糖は酸化ストレス,炎症,および内皮機能不全を引き起こす
・食後高血糖は癌発症リスク上昇と関連する
・食後高血糖は高齢2型糖尿病患者の認知機能障害と関連する
・食後高血糖は心筋血液量および心筋血流の減少と関連する
など※2
※1「ヒューマン・ニュートリション第10版 基礎・食事・臨床」(医歯薬出版株式会社)
※2「食後血糖値の管理に関するガイドライン」より


それなのに、
番組では、
糖質制限食が血管障害を引き起こす理由があるとして、
問題とされました。


糖質制限で血管障害が起きるのか?

そもそも、先に見ていただいたように、
高血糖とそれによる酸化ストレスが、
血管内皮をリアルタイムに傷つける原因です。

糖尿病の三大合併症にみられる
失明、透析、足の切断など毛細血管だけでなく、
大血管疾患の独立した危険因子であることは
世界的にも認められています。

つまり、
糖質を制限して高血糖と酸化ストレスを防ぐことは、
血管障害を引き起こすどころか、
真逆で、
血糖という観点からすると、
血管障害を起こさないための、
重要なかつ唯一の(投薬に頼らない)戦略であると言えます。


それでも、
糖質制限で血管障害が起きるとしたら、

糖質を制限できずに(糖質を制限させずに)
中途半端に糖質を食べて血糖を上げてしまうか、


おかずの食べ方に問題があるか、

ではないかと考えます。


1の場合、
糖質をある程度とったほうがいいというのは、
1)それでもやっぱり食べたいという嗜好の側面
2)それでもやっぱり食べて欲しいという経済の側面
3)ケトン体が危険だからという医学的な側面
によって、
そうなるものと考えられます。

1)の場合、
食べたいなら、食べるしかないです。
ダイエット期間中だから我慢するのか、できないかは、
個人の価値観の問題です。
ダイエットだけでなく、
目標を決めたら、ある程度の我慢はつきものです。
例えば、
行きたい高校や大学に行くために勉強する。
旅行に行きたいから貯金する。
肝機能の数値が悪くなってきたら飲酒を控える。
など、
目標が決まったら、
その実現のために、
多かれ少なかれ、皆、
何かを我慢して、辛い現実を受け入れます。
しかし多くは、期間限定です。

それでもやっぱり
ごはんやパン、ラーメン、お菓子も食べたい、
我慢できない、食べる〜〜という場合は、
血糖は上がってしまい、
ダイエット(体脂肪の燃焼)はお休み、
ということになります。

糖質制限を実践できるかできないか、
個人の意思の問題は、
糖質制限の理論を批判する材料にはなりません。


次に、
2)それでもやっぱり食べて欲しいという経済の側面
の場合、
ここは専門外なので明言は避けますが、
企業にとっては、
お金儲けは宿命とも言えます。
しかし、
何を買うのか、買わないのかは、
個々人の生活者が
自身の価値観に基づいて、
その都度、決めればいいと思います。


そして、
3)ケトン体が危険だからという医学的な側面
これは
宗田晢男医師の
『ケトン体が人類を救う』(光文社新書)
この名著に、
危険ではなく
その安全性が書かれています。

宗田医師は、産婦人科の医師で、
日々、妊婦さんに接しているなかで、
糖尿病に苦しんでおられる妊婦さんと
そのお腹の赤ちゃんを救いたい、
という切実な思いから、
糖質制限理論と
ケトン体の事実を突き止め、
『ケトン体が人類を救う』を
書こう、書かなければ、思われたのだそうです。

胎盤のケトン体は成人基準値の約30倍であること、
新生児のケトン体は成人基準値の3~数倍であること、
つまり、
糖尿病の方であろうと、
胎児、新生児、
つまりインスリン作用が保たれている人類にとって、
ケトン体は極めて安全な物質で
ケトン体こそ、
人類の本来の主要なエネルギー源であるということ
(いかに糖質摂取=血糖上昇=インスリン分泌という
エネルギー代謝が、人体にとって不自然=病的か、、)
が書かれています。



まとめ

血管を傷つけないためには、
糖質制限による食後高血糖を防ぐことこそ、
重要な欠かせない戦略のひとつである。

ある程度の糖質を食べたほうがいいという理由が、
ケトン体を発生させないことが目的であれば、
それは不要である。

糖質制限によるケトン体は、
インスリン作用が保たれている人類にとって、
安全な物質(エネルギー源)だからである。

となります。

それでもお菓子が食べたいという個人の価値観
それでも小麦を食べて欲しいという企業の思惑
などは、
糖質制限が血管を傷つけるかどうかとは、
別のステージの話となります。


糖質制限で血管障害が起きるとしたら、

おかずの食べ方に問題があるか、

次回、このはなしをまとめます。
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