管理栄養士のローカーボ・キッチン

『ためしてガッテン』を整理する(2)


先日、
NHKで放送された
『ためしてガッテン
追跡!糖質制限ダイエットの落とし穴』
の中で、
糖質制限食が血管障害を引き起こす
という問題が提起されました。

糖質制限の何が血管障害を引き起こす可能性があるのか。

血管障害を引き起こすリスクとして知られているのが
食後高血糖です。

血糖値を上げる栄養素は糖質です。

食後高血糖を引き起こさないためには、
カロリーではなく、
糖質の摂取量を減らすしか方法がありません。

どのくらいの糖質量が、
血管障害を引き起こすほどの
食後の血糖値を上げるのかは、
個人差が大きいと思います。

少なくとも、糖尿病の方は、
お茶碗に軽く1膳の
たった100gのごはんでも、
食後血糖値は200mg/dlを超える方が多いと思われます。

我が家の糖尿人も、まさに、そうです。

クリニックの患者さんの中には、
糖尿病の診断されなくても
(空腹時血糖値は正常範囲。HbA1cも正常範囲)の方でも、
75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)の結果、
食後1時間〜2時間にかけて、
血糖値が200mg/dlを超え、
機能性低血糖と診断される方が大勢おられます。

そういう意味では、
血糖に関する検査は、
空腹時での検査より、
普通に主食(糖質)を食べて検査する方が、
早くに高血糖(糖尿病)の傾向がわかり、
予防医学としては有効かと考えます。


血管を傷つけるリスクファクターとなる高血糖は、
糖質制限によって防げます。
糖質制限によってしか防げないとも言えます。

ケトン体についての安全性の議論は、
医師の間でも続いていますが、
『ケトン体が人類を救う』(光文社新書)
にあるように、
そもそも人類は、
血糖ではなく、
ケトン体をメインエンジンとして
生きてきた(進化して今日に至っている)という
事実とともに、
その安全性が証明されています。


ならば、
高血糖以外に、
血管を傷つけるリスクファクターとなるものは何か。

一般的には、
1 肥満
2 高血圧
3 脂質代謝異常症
(高トリグリセリド血症、高LDL、低HDL)
そして
4 過酸化脂質
5 活性酸素
(食品添加物、過度な飲酒、ストレス、喫煙、大気汚染など)

などが挙げられています。

1〜3は、メタボリックシンドロームにも通じますが、
1の肥満の解消には
糖質制限が有効であることが多くの論文で証明されています。

2の高血圧は、減塩しても肥満がある限り、解消されません。
ならば、肥満がある場合、
肥満解消には1と同様、糖質制限が有効です。

3のうち高トリグリセリド血症は、
高血圧や糖尿病に関連します。
同じ脂質異常症でも、
高トリグリセリド血症は糖質、アルコールの摂り過ぎ、
高コレステロール血症は過多の脂肪摂取が原因です。

とすると、
3のうち高トリグリセリド血症は、
糖質制限が有効であることがわかります。

糖質制限という
高血糖を起こさない=インスリンを追加分泌しない
時間をつくることで、
血管を傷つけるどころか、
血管を傷つけるリスクファクターのうち、

1 肥満
2 高血圧
3 脂質代謝異常症
(高トリグリセリド血症)

が解決できます。

3のうち、コレステロールは、
酸化=悪玉にさせないアプローチが必要です。
そういう意味では、
4の過酸化脂質を防ぐ対策が重要です。

どんな食事が過酸化脂質=体の酸化(さび)を増やすのか。

まずは、酸化した油です。
サラダ油(多価不飽和脂肪酸のうちオメガ6)全般と
考えていいと思います。
そのほか、加工品としては、
1)植物油のドレッシング
2)植物油で漬けられたツナ、いわしなどの缶詰
3)植物油で揚げられた油揚げ、厚揚げなど
そして、
4)市販の惣菜、揚げ物など、
高熱にさらしたサラダ油(多価不飽和脂肪酸のうちオメガ6)が、
さらに時間がたったものなどもさけたほうが無難です。


5 活性酸素
(食品添加物、過度な飲酒、ストレス、喫煙、大気汚染など)
こちらに関しては
「飽和脂肪酸は悪くない」
http://lowcarbkitchen.blog.fc2.com/blog-entry-408.html
を参考にしていただけたらと思いますが、
よくない脂質をいかに体内に入れないか、が重要です。

それをふまえ、
活性酸素(フリーラジカル)を除去し、
過酸化脂質=体の酸化(さび)を減らす食事を
毎食、積極的に取り入れていくことが、
糖質制限をしながら、
血管を傷つけないためには重要と言えます。

活性酸素(フリーラジカル)を除去し、
過酸化脂質=体の酸化(さび)を減らす栄養は、
ビタミンA、C、E
そして
動植物の色素成分、カロテノイドです。

これらの栄養素は、
赤身肉、レバー、うなぎ、魚介全般、
ゴマ、アーモンド、くるみなどの種実類、
緑黄色野菜、海藻から摂取できます。
きのこ類も活性酸素を除去し、免疫アップにも役立ちます。
ビタミンCは、
とれたて新鮮野菜や柑橘系果物に豊富ですが、
手間や果物の防カビ剤、果糖のことを考えると、
ビタミンCは、
サプリメントを使っても手軽で安価かと考えます。


血管を傷つけるリスクファクターとなる高血糖は、
主食を抜くなど糖質を減らすという
シンプルな方法で実現できます。

主食を抜く結果、
おかずをしっかり食べる際には、
サラダ油やトランス脂肪酸など酸化油脂まみれの
おかずや糖質オフ食品ばかりを活用するとしたら、
また、
肉や卵、乳製品など
糖質は少ないものの、
タンパク質と脂質にかたより、
緑黄色野菜や海藻、きのこなど
食物繊維系の食品が不足するとしたら、
活性酸素が増え、
除去力が減り、
結果、
血管が傷つくことになりかねません。

腸内環境を整える発酵食品、
魚介から摂取できるオメガ3系脂肪酸やビタミンD、
海藻と大豆製品に豊富なミネラルなど、
糖質を制限することだけでなく、
食品添加物や酸化油脂を極力入れない、など、
摂取する栄養を総合的に考えて組み合わせてこそ、
糖質制限食の目的、
健康のための
安心、安全な食生活が完成すのではないかと考えます。

最後に、
手前味噌になりますが、
『食べ方だけで不調をなくす』(宝島社)
では、とくに、
このような、
何をどう食べるかの実践方法を盛り込みました。
皆様の安心、安全な糖質制限の実践に
本著をお役立て頂けましたら幸いです。
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離乳食

このたび生後6ヶ月の娘を持つ母親です。妊娠中は妊婦の栄養に関してご相談させていただきました。ありがとうございました。時は流れ、今一番の関心事は一も二もなく離乳食でございます。まずはの離乳食には必ずや10倍がゆです。しかし、糖質制限食の考えにのっとると、10倍がゆほど糖質以外の何ものもない栄養に乏しい食べ物としか思えないのです。ビタミンB1補給だからと、乳児に玄米がゆを与えるわけもいかず。しかし、フランスやイタリアの離乳食を調べると意外に米は離乳食開始からだいぶ経ってからで最初は野菜のピューレからが常識となっているので10倍がゆにこだわらなくてもいいのかなと。そこで先生に質問です。まず、先生の離乳食はどのように始められましたか。当時は糖質制限食に今みたくこだわっておられなかったとしたら、もし、今ならどのような離乳食から始めたいと思われますか。教えていただきたくよろしくお願いいたします。

いのうえまきこ | URL | 2016/08/03 (Wed) 21:32 [編集]


Re: 離乳食

いのうえまきこさま
この度は御出産、おめでとうございます。生後6ヶ月のお嬢様とは可愛い盛りですね。我が家の場合、その時期は、夜泣きがすごくて、大変でした、、今思うと、母体の栄養不足が原因でしたね、、おそらく。当時は、糖質制限もしていなかったですし、栄養の摂り方もいわゆる、昔ながらのものでしたので、、。当然、娘の離乳食は、いわゆる、糖質中心でした。それでも、今、とても元気に高校2年生です(笑)。離乳食と糖質、脂質の摂り方に関しては、こちらも参考になるかと思います。
『人の赤ちゃんの離乳食を内臓の働きから考える』
http://karada-naosu.com/category4/en252.html

赤ちゃんの栄養=母乳は脂肪が中心。
母乳から離乳食に変化する時期の食材は、
母乳が持つ成分に似た物に移行していくのが自然。
という考えです。

夏井睦先生の「炭水化物が人類を滅ぼす」の著者にもありますが、
日本では、
肉や魚は消化が悪く、
ご飯や麺類は消化に良いと言われてきましたが、
実際は全くの逆です。

離乳食の常識も、まるで、変わってきます、、。

WHOでは離乳食ではなく補完食として
母乳で足りない栄養を食事で与えることを推奨していますが、
その内容は
主食をメインに、
肉や魚のタンパク質系食品
乳製品
豆類
オレンジ色の野菜(かぼちゃ、にんじん)
そして油脂
としています。

わたしが今、離乳食を子どもに食べさせるとしたら、
糖質はかぼちゃ、にんじん、いも類、
国産の防カビ剤が使われない果物、そして、白米も適宜、活用し、
そこに、
白身魚、しらす、きなこ、豆腐、
高野豆腐(醤油など塩分を加えずだしだけで煮ると、とろとろに仕上がります)
卵黄、鶏肉、そして、
レバー(ただし、良質なものかどうかの見分けが難しいですよね、、
(栄養療法では、ヘム鉄をカプセルからだして母乳に混ぜるというやり方で摂取させます)
アマニ油はオメガ3が確保できます。

厚揚げ、油揚げ、ソーセージなどの加工品は
酸化油脂や食品添加物が心配なので、
あげていませんでした。

それから、乳製品も、ほとんどあげていません。
保育園に行くようになって、
チーズを料理に使われた時にたべるくらい。
アイスクリームやケーキの生クリームはたまに食べますが、
牛乳はいまだに飲んだことがありません。
これは、いずれ、記事にします。

野菜は、ほぼなんでもわからなくすれば食べられると思います。

ミネラルが摂取できる海藻は、
青のり、焼き海苔は、とけるのであげやすいです。

そして、いずれの食材も、
もっとも気をつけたいのは、
食材の質だと考えます。
抗生物質やホルモン剤を使っていない食材を選べたら理想ですね。

お母さんも体力だけでなくストレスも感じやすいときかもしれません。
何卒、ゆっくりと、ご自愛くださいね。

抗生物質やホルモン剤、食品添加物や農薬、酸化油脂など
化学的な異物の摂取を控えておけば、
比較的、みな、健康に育つようにも感じています。

tamami oyanagi | URL | 2016/08/04 (Thu) 10:29 [編集]


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| | 2016/08/04 (Thu) 16:01 [編集]


 
 

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