管理栄養士のローカーボ・キッチン

野菜について

野菜の栄養について、コメントを頂きました。
糖質制限食的には、
野菜は、緑色の濃い野菜がおすすめです。
糖質が少なく、食物繊維やβカロテン、葉酸など、
栄養素が摂れるからです。
淡色野菜は、お鍋やスープで甘味や、
やわらかい食感を楽しんだり、
生食でシャキシャキ感や風味を楽しむ程度に。
トマト、かぼちゃ、にんじんは、彩り程度に。
ごぼう、れんこんなど根菜は、少なめに。

以前、NPO法人糖質制限食ネット・リボーンの機関誌に書きました
「野菜とのつき合い方」に、
少し、加筆したものを、以下に掲載します。


私たちの日常生活には、
例えば、横断歩道で信号が赤になったら止まり、青になったら渡るように、
無意識のうちに学習していることがあります。
“野菜はヘルシー”も、無意識のうちに学習したことの
ひとつではないかと常々感じています。

クリニックでの栄養指導では、
患者さんの食事記録を見せて頂く機会も多々ありますが、
その中で、みなさん一様に、野菜をたっぷり摂取する工夫が見られます。
煮たり、蒸したりしてたっぷりと。
真冬でもレタス、きゅうり、トマトの生野菜サラダを毎朝かかさず。
ミキサーなどでつくる自家製の野菜&果物ジュースや、
1本で1日分の野菜が摂れる野菜ジュースなど
飲料から摂取というケースも目立ちます。

厚生労働書は、国民の健康づくり運動「健康日本21」の中で、
健康を維持するための野菜の摂取量目標量を1日350〜400gとしています。

農林水産省は、野菜の摂取が生活習慣病を予防するとして、
国産野菜をもっと食べましょうと野菜の消費拡大に取り組んでいます。

また、日本各地にある伝統野菜は、
今では文化として親しまれ、
野菜のソムリエなどユニークな資格制度も誕生し、
資格を持つ芸能人が野菜料理を披露するなど
総合的な要因によって、
野菜はヘルシーというブームが巻き起こっているかのようです。

しかし、そもそも人類(ヒト)の食という観点から見ると、
人類400万年の歴史の中で、
農耕がはじまったのは1万〜3万年前と言われています。
つまり、399〜397万年の間、進化の大半の期間、
私たちのご先祖様は、野草や雑草などは食べていたかもしれませんが、
現代のように品種改良した(甘い)野菜を
1日350g、緑黄色野菜、淡色野菜、根菜をバランス良く!?
食べていたとは到底、考えられません。

その証拠に、コレステロールや必須アミノ酸、
必須脂肪酸などヒトの生命維持に必須の栄養素は、
たいてい、肉、魚、卵など動物性食品に含まれています。

「野菜はビタミン、ミネラルの宝庫です」と、
栄養の専門家であるはずの栄養士でさえよく口にするフレーズですが、
間違いです。
食品成分表をみれば一目瞭然です。
ビタミン、ミネラルは、レバー、赤身肉、魚貝海藻類に豊富に含まれています。

ヒトの生命維持に必須の栄養素の中で、
野菜に比較的多く含まれるものを強いて挙げるとしたら
「葉酸」と「βカロテン」です。

葉酸は、ビタミンB群の仲間で、赤血球や細胞の新生に必須の栄養素です。
妊娠、授乳中は特に葉酸は大切です。
葉酸はたんぱく質や核酸の合成にはたらいて発育を促進します。
核酸は細胞の核の中にあって、
遺伝情報通り、からだを作っていく指令を出すところ、
つまり生命の根幹です。
妊娠、授乳中に不足すると、
胎児では脳神経に障害が出たり、
赤ちゃんの発育に大きな悪影響を及ぼすと言われています。
お酒をたくさん飲む人も葉酸が欠乏しやすくなります。

葉酸を豊富に含む野菜は、
菜の花、からし菜、モロヘイヤ、春菊、ほうれん草、
アスパラガス、芽キャベツ、かぶの葉など。
緑色の濃い野菜とイメージすると良いです。
その他、枝豆にも葉酸は豊富です。
しかし、葉酸をもっとも豊富に含んでいるのはレバーです。
その他、田作り、帆立貝などの魚介、
つまり野菜ではなくたんぱく質系食品に豊富に含まれています。

一方、βカロテンは緑黄色野菜に含まれる色素成分で、
体内で必要量だけビタミンAに変わります。
ビタミンAは皮膚や目の角膜、口腔、胃腸、肺、気管支、
膀胱、子宮などの粘膜を健やかに保ち、
感染症に対する抵抗力をつけるのに不可欠な栄養素です。
ビタミンAの特徴は、
レバーやうなぎ、あんこうの肝、ホタルイカなど、
動物性たんぱく質にしか含まれません。

このように見ていくと、
栄養学的には野菜は摂らずとも動物性たんぱく質を摂取しておけば、
ヒトの生命維持に必須の栄養素はたいていまかなえることがわかります。

野菜からは、食物繊維も摂れますが、
食物繊維は、海藻からも摂取できます。

では、野菜の健康効果はゼロ?というわけではありません。
野菜にはビタミンCを多く含むものが少なくありません。
ビタミンCは血管、皮膚、粘膜、骨を強くするほか、
免疫力の強化、アレルギー反応を抑えるなど
健康維持には不可欠な栄養素のひとつです。
赤ピーマン、菜の花、芽キャベツ、ブロッコリー、
かぶの葉、にがうり、ほうれん草などの野菜に比較的、多く含まれます。

もうひとつ、野菜は、栄養素というより
機能性成分のはたらきが期待されています。
わたしも、個人的には、野菜を食べる意味は、
栄養素より、機能性成分のほうにあるのではないかと考えています。
機能性成分とは、カルニチン、キチン・キトサン、
カプサイシン、カテキン、レシチン、アリシン、
クロロフィルといった、
食品に非常に微量含まれている生理活性成分のことです。

機能性成分の役割は物質によって様々ですが、
血中脂質のバランスを調整する、疲労回復にはたらく、
腸の環境を整える、アレルギーを抑制する、
老化を遅らせる、免疫力を上昇させる、
ガンの発生や増殖・転移を防ぐなどといった
様々な機能が期待されています。

こうして見てくると、
野菜とは結局、ヒトの生命維持、健康維持にとって、
栄養的には主役ではないことがわかります。
主役は赤身肉や魚貝類などたんぱく質系食品なのです。
野菜を食べていればヘルシー、安心というのは栄養学的には間違いです。

それでも野菜信仰があるとしたら、
それは野菜の持つ、香りや苦味、
シャキシャキとした食感などの美味しさや、
旬の味覚を楽しめること、
そして、伝統野菜への愛着など、
文化的、情緒的なものによるところが大きいのではないかと考えます。
米(ごはん)に似ていますね。

米(ごはん)は日本人の主食、
日本文化の象徴だという話と、
米(ごはん)に含まれる糖質は血糖を上げるという事実は
別に考えなくてはなりません。
サイエンスを認識したうえで、
野菜や米(ごはん)など、
好きなものをどのように楽しむのか、
ロマンチックな発想でもって考え、
日々の食卓に賢く美味しく取り入れていきたいものです。
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コメントコメント


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ありがとうございました!!

先生おはようございます!
野菜の記事、ありがとうございました
長年の疑問がこれですっきりしました

自分自身が「野菜=(無条件で)健康的」という考えに無意識に浸っていたかもしれませんが
ずっと昔、犬を飼っていて(同じ哺乳類なのに)なんで犬や猫は滅多に野菜を食べなくても元気なのに、人間は食べなきゃいけないんだろう?ってどこかでひっかかるものがありました
(動物と人間を無条件で一緒に考えるのもどうかと思いますけど)

私はこちらを参考にしながら、赤ちゃんを宿して間もなく「野菜をとにかく食べなきゃ」という知り合いに「赤ちゃんがちゃんと大きくなるためにしっかり肉や魚も食べるようにね」って話していますv-354

caorita@エセ京女 | URL | 2012/11/10 (Sat) 10:41 [編集]


大柳先生、初めまして。

野菜の糖質について、大変勉強になります。
(糖質の本が売り切れでまだ手に入っていないので、余計に)


1つ疑問なのですが、安売りのホウレン草などを大量買いした際、
軽く茹でて冷凍保存しているのですが、
冷凍だと、やはり栄養分は少なくなってしまうのでしょうか?
青物葉野菜は意外と高いので^_^;

みゆ | URL | 2012/11/10 (Sat) 15:38 [編集]


Re: タイトルなし

みゆ さま
コメント、有り難うございます!
糖質ガイドブック、売り切れでしたか!?
有り難いことです。
冷凍野菜について、記事しますね!

tamami oyanagi | URL | 2012/11/13 (Tue) 08:23 [編集]


 
 

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