管理栄養士のローカーボ・キッチン

講演会の感想

先日、11月17日(土)、
女子栄養大学(駒込)で、
糖尿病治療最前線〜栄養食事療法を巡って〜と題された、
講演会が行われ、
女子栄養大学栄養科学研究所 所長
香川靖雄先生のおはなしに続き、
京都高雄病院 理事
江部康二先生、
そして
京都大学大学院人間・環境学研究科 教授
津田謹輔先生のご講演を頂きました。

糖質制限理論について、
それぞれの先生のご見解やエビデンスが示され、
さまざまな角度から討論もあり、
とてもエキサイティングな講演会でした。

最後に司会の先生がまとめられたのは、
1)
糖質制限食とは糖質何グラムをもっていうのか、
糖質制限食の定義づけの整理が必要ではないか。
2)
糖質制限食のアウトカムをなにでみるのか。

糖質制限食による患者のQOLをどのように継続していくのか。
でした。

そして、この講演会でなされていた議論を聞いていて、
わたくしが最終的に感じた事は、
江部康二先生のブログ(2012年11月18日)に
一文ありました、そのまんま、

「三大栄養素のうち、血糖値を上げるのは糖質のみ」
「食後高血糖、平均血糖変動幅増大は動脈硬化の明確なリスク」
「炭水化物が50-60%含まれるカロリー制限・高糖質食では食後高血糖が必発する」

少なくともこれらの生理学的事実を、
糖尿病専門医は患者さんに説明する義務があると思います。
その上で、糖尿病患者さんが、

1)糖質制限食
2)糖質管理食
3)従来のカロリー制限食

のどれかを自己責任で選んでいただけは良いと思います。

と、まったく同感です。
まずは知る事。
知った上で、
選ぶのは患者さんだと思います。
会場で
先生方が心配されていたのは、
主食を抜く食事が続けられるのか?
何をどう食べるのか?
という実践についてのとまどい、のような意見でした。

こここそ、まさに、管理栄養士の出番ではないでしょうか。
とくに臨床の現場にいる管理栄養士は、
医師と同じくらいの知識を持つ事を目標にすることが多いのですが、
それはもちろん大切で有意義なことですが、
それでは医師と同じで、
管理栄養士の存在意義がなくなります。
管理栄養士は、
科学を、日常の食卓に具体化する役割が第一にあります。

続けられる糖質制限食はいくらでもあります。
糖質制限食は食費がかかる、という懸念も、
先生方からあがっていましたが、
食費がかからない糖質制限食もあります。
100円ローソンでできる糖質制限食もあります。
しかし、そもそも、
500円のランチを安いと思うか、高いと思うか、
個々人の価値観の話です。
たとえば1日500円を貯金して、
1月に1回でいいから、
三ツ星シェフのフレンチランチを
自分のお金で食べてみたいと思うか、
それは美学の話です。
糖質制限食によって、
ひとつきの食費が多少、割高になるより、
毎月の治療代や薬代のほうがよっぽど高くつく、
という方もおられると思います。

自分ができないから、患者さんもできないだろう。
自分ができるから、患者さんもできて当然。
というのはおごりです。

栄養指導とは、
ヒトの科学を、
人間の食卓に落とし込む作業であるというのが持論です。

30分という限られた時間内で個別に行うことが多いのですが、
わたしはその中で、
自分で試し、考え、得た糖質制限食の情報や知識をもとに、
患者さんの病態や嗜好、味覚、価値観、食体験など
すべてを学びながら、
その患者さんが続けられる、
その患者さんのQOLを下げない、
食事の摂り方を、
一枚の布のように織り上げて、
手渡すことを心がけています。
難しいですが、
それこそが、栄養士の仕事ではないかと思うからです。

講演会の中で、
津田先生もお話されておられましたように、
糖質制限食の中でも、
量から質へ、
つまり、同じパーセンテージの脂質でも、
その質を細かく整理していく必要がある、
というのは、まさに同感です。

そして講演会では、
糖質制限食も、
カロリー制限食も、
長期エビデンスはないというコンセンサスが得られました。

糖尿病の患者さんにとって、
平均寿命までの数十年の間を
長期ととらえるのか、
短期ととらえるのか、
どのような食事療法を選ぶのか、
患者さんの価値観で、
患者さんが選べる時代にしなくてはなりません。
ましてや、
食事療法が、
科学的根拠ではなく
政治的判断によって振り回されることは
あってはならないことだと、
改めて強く感じました。
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コメントコメント


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感動的な記事(汗;)

大柳先生、絶好調ですね。
今日の記事は、いつもに増して、説得力があります。

私は、糖質制限の制限のニュアンスが重いので、
糖質管理の管理が響きがいいような気がします。

<自分の体は自分で管理>

私は、毎日、血圧、体重、食後血糖値を測り、月1で、ドクターの健診を受けています。

塾という仕事柄、朝9時から夜12時迄、15時間勤務、休日はほとんどなし。あっても月に1~2回。その休日も、糖質セイゲニストin北九州(江部先生のファンクラブ)の勉強会のお世話に使います。ちなみに、まもなく62歳です。

仕事を終えて、深夜12時に、飲酒(赤ワイン、焼酎各180ml、休肝日無し、汗;)でも、まったく平気です。おつまみは、お刺し身、鶏肉のグリル…なら、OK!ところが、野菜類を付けると、翌朝、ちょっと?!市販の総菜などはNG!です。

会う合わないは、自分の体で、人体実験、会うものを探せばいいわけです。

それも、<美味しく楽しく>の範疇に入ると思います。

北九州 三島 | URL | 2012/11/19 (Mon) 12:02 [編集]


栄養指導の重要性

大柳先生
私のところにも色々な相談がきます。
しかし糖質制限を医師の勧めで始めたのは良いのですが、管理栄養士が医療機関(小さな診療所等)にいない場合もあり、栄養指導を受けていない方もいらっしゃるようです。
そのような方には、糖質制限派の管理栄養士さんのいらっしゃる医療機関に一度行って、栄養指導を受けるように、勧めております。
個人個人病状や食習慣も違うので、やはり専門家がしっかり指導するのが、一番だと思います。
私はこれまで結構好き勝手な糖質制限をしていますが(笑)、私も一番初めは、高雄病院京都駅前診療所で、栄養指導を受けて、自分の考えが間違っていない事を確認して安心しました。

私のパン講習会!凄い事になってきて、私自身がびっくりしています。
「家族の命がかかっています。お願いします。」と言われる事もあり、その責任の重さを感じながら講習会を頑張ってやっていこうと思います。

摂津のエクレア | URL | 2012/11/19 (Mon) 23:03 [編集]


Re: 感動的な記事(汗;)

北九州 三島さま

いつも有り難うございます。
三島さんこそ、パワフルなご活躍!絶好調ですね!
いつかわたくしも北九州でのお勉強会で、
是非、学ばせて頂きたいと思います!

tamami oyanagi | URL | 2012/11/20 (Tue) 09:05 [編集]


Re: 栄養指導の重要性

摂津のエクレア さま
パン講習会、すごいですね。
ますますお忙しくなるかと思いますが、
パン好きの方のためにご活躍下さい!

tamami oyanagi | URL | 2012/11/20 (Tue) 09:07 [編集]


はじめまして。

あらてつさんのブログから飛んできました。
糖質制限を始めて半年ほど経ちます。

初めの頃はスタンダードに近い糖質制限だったの
ですが最近ではスーパーに近い生活になっています。

主人に言わせるとおかずをあまり食べずに油揚げ
や豆腐で食事を済ませているように見えるとのこと。
おかずを食べる量が明らかに減っているようです。
私自身はお腹いっぱい食べているのですが。。。

このような場合はやはり大豆製品を減らしておかず
を食べる分量を増やしたほうがいいのでしょうか?
カロリー不足なのか多少のふらつきが出ることも。

記事と関係ない質問で申し訳ありません。
お手すきのときでいいので教えていただければと
思います。
宜しくお願いいたします。

ひろ♪ | URL | 2012/11/21 (Wed) 04:12 [編集]


Re: はじめまして。

ひろ♪ さま

あらてつさんのブログ、わたしもいつも楽しみに観ていますよ〜。
この度は、コメント、有り難うございました。

おかずの組み合わせ方は、
魚介を中心に、
肉もあって、卵も、そして大豆製品も、と、
4つのたんぱく質系食品を組み合わせると良いですよ。
たとえば、
ぶりのかまの塩焼き
がメインとしたら、
青菜のおひたしには、鶏ささみも加え、
みそ汁の具は豆腐にし、卵も落とした、
など。
そこに、海藻やきのこや、
その他野菜も組み合わせていきます。

大豆製品ばかりだと、
鉄やビタミンB12など、
動物性たんぱく質系食品に豊富な栄養素の不足が懸念されますので、
肉も魚介も卵も、そして大豆製品もと組み合わせて。
1食量が小食の方は、
油ののった魚や、
チーズ焼き、
ナッツをトッピング、
ねり胡麻あえ、
など、カロリーの高い部位の肉や魚を活用するとともに、
カロリーの高い乳製品や種実類を味付けに使い、
そして液体で油を摂る場合は、
オレイン酸の多いオリーブ油を適宜、活用してカロリーを確保しましょう。

tamami oyanagi | URL | 2012/11/23 (Fri) 08:00 [編集]


お返事ありがとうございました。

教えていただいたとおりに食事の方
見直してみたいと思います。
お忙しい中ありがとうございました。

ひろ♪ | URL | 2012/11/25 (Sun) 02:35 [編集]


Re: お返事ありがとうございました。

ひろ♪ さま

美味しく楽しく糖質制限食、続けて下さい!
また何かありましたらいつでもコメント下さい。

tamami oyanagi | URL | 2012/11/25 (Sun) 08:50 [編集]


講演会

江部先生、アウェイ感ものすごく出てましたね。残念ながら討論は見れなかったのですが、それでも短い講演でバッサリ切っていたと感じました。
患者さんは長期エビデンスなど待ってられません。今そこにある危機をいかに乗り越えるかにあると思います。
私も一歯科医師として、抗糖化に全力を尽くす所存であります。
今後とも宜しくお願い致します。
休憩時間にお菓子が出ているところが残念でした。

大原輝久 | URL | 2012/11/30 (Fri) 17:35 [編集]


 
 

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