管理栄養士のローカーボ・キッチン

長野県の健康長寿と食

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先週、長野県の高山村と飯綱町へ行ってきました。

狩猟採集時代を再現するのではなく、
限りなくヒトの消化管機能に適した科学的な栄養摂取を心がけながらも、
文化的な現代の要素を取り入れつつ健康を考えると、
どのような栄養の特徴が見えてくるのかという視点で取材に行ってきました。
今回は、そのご報告です。

長野県の平均寿命は
男性が80.88歳
女性が87.18歳と
日本一で、世界的に見てトップレベルの水準です。
さらに、県民一人当たり高齢者医療費は低い方から4番目です。
健康長寿の要因としては、
高齢者就業率 (平成22年度)が、
全国平均は20.4%に対し、長野県は26.7%と全国1位なこと。
野菜摂取量(平成24年)が、
1人1日当たり
全国平均は男性297g、女性280gに対し、男性379g、女性365gと
こちらも全国1位なこと。
などが挙げられています。

長野県の肥満をみてみると、
肥満者の割合は、
47都道府県中40位(25.7%)とこちらも低いことがわかっています。
ちなみみ、肥満者の割合がもっとも多いのは、沖縄県(45.2%)です。
※都道府県別の肥満及び主な生活習慣の状況
平成18~22年の5年分の国民健康・栄養調査

糖尿病をみてみると、
平成27 年 国民健康・栄養調査では、
長野県の糖尿病の年齢調整死亡率は
男性が全国と同程度。
女性は全国より低いものの男女とも増加傾向にあります。

その上で、
長野県の食事の調査をみてみると、
長野県は全国の栄養素及び食品群別摂取量に相違点が多くあり、
特徴としては、
主食は米を多用し、小麦製品の摂取が少ないこと。
野菜及びきのこ類など食物繊維の摂取が多いこと。
チーズやヨーグルトなど乳類が多いこと。
栄養素摂取量が全般的に多いこと。
などが示唆されています。
※健康・栄養調査結果からみた長野県の食生活の特徴
信州公衆衛生雑誌,8 ⑵:89~95,2014

みそや漬物など発酵食品も多く摂る傾向がみられ、
食塩摂取量が多いことは
循環器疾患予防の観点から長野県の食生活の課題と考えられているようです。

ごはんなど主食の食べ過ぎは、糖質過多につながり、
ごはんなど主食しか食べない食べ方は、タンパク質やミネラル栄養不足になり、
ごはんに豊富な糖質をエネルギーとして使い切れないからだにもなりかねません。
つまり、肥満や糖尿病のリスクが高まります。

しかし、主食をエネルギーとしてとるなら、
グルテンや油脂を一緒にとってしまうパン食よりも、
ごはんをはじめ、そば、芋類、かぼちゃ、季節の果物など、
アレルギーになりにくく、栄養価も高い糖質がおすすめです。

今回の長野県の取材で、食事の調査と同じく実感したことは、
食物繊維が豊富なことです。
箱膳という郷土料理をいただきました。
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やわらかく煮た野菜の煮物だけでなく、
シャキシャキ歯ごたえが残る具だくさんのみそ汁や、
やはり、少し歯ごたえが残るように仕上げられた浅漬け風のキャベツの酢づけ、
こんにゃくやきのこの煮物などなど、
自然によく噛めるような食べ方の工夫がされていたことも印象的でした。

野菜やきのこ、こんにゃくなど
食物繊維が豊富なおかずを、
よく咀嚼しながら食べていると、
ごはんは、軽く1膳も食べられないほど、
満腹感と満足感を得ることができます。
直売処には、季節柄、天然のきのこがたくさん並んでいました。
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りんご栽培もさかんで、直売処でも箱単位で売られていました。
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「1日1個のりんごは医者いらず」という諺があるように、
りんごは1個あたり、
糖質は約35g、カロリーは約120kcalで、
食パンやごはんよりも少ないのが特徴です。
しかし、ごはんやパンより、
ビタミンやミネラルのほか、
りんごポリフェノールは抗酸化作用をもち、
ペクチンという食物繊維も含まれます。

りんごポリフェノールは皮に多く含まれるので、
農薬の少ないりんごを皮ごと食べるのがおすすめです。

りんごは、
野鳥がついばむことができるよう、
りんごのお酒、シードルを味わえるレストランなどでは、
こんな感じで置いてある心遣いも!
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そばも、信州ではそばの実も丸ごと挽くようなスタイルで食べられていて、
人気のお店では、地元の方々で、お昼時は行列ができるほどとのこと。
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そばは、ルチンが豊富です。
ルチンは、毛細血管を強くするほか、
血圧を上昇する物質のはたらきを弱くしたり、
ビタミンCの吸収を助け、酸化から身を守ってくれるはたらきがあります。

カップ麺や冷凍チャーハンやインスタント焼きそばなど
油まみれの加工された糖質ではなく、
主食をとるなら、
ごはんや、そば、りんごなどの季節の果物を活用したほうが良いことは
一目瞭然です。

高山村は良質なワインになる良質なぶどう作りも盛んでした。
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ワインは、赤ワインには、ポリフェノールが豊富ですね。
ポリフェノールは活性酸素を除去し、老化や病気を防ぐほか、
発がん物質の活性化を抑制する作用もあります。
白ワインに含まれる有機酸は、
カルシウムの吸収を促進、
血行や代謝を促進
疲労回復などの
腎臓などの働きを活性化するなどの作用があります。

その土地の、自然の風を送り込み、
微生物の力にによって、白カビと青カビの絶妙のバランスで
発酵、熟成させてつくる
生ハムの工房も見学してきました。
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ふくらはぎにあたる部位の赤身の生ハムは、
削りたてのかつお節のような、旨みの塊でした。
微生物によってつくられる発酵食品は、
私たちの腸内環境で共生している微生物と、
繋がっていることを実感します。
腸内環境は、健康を維持するうえで、なにより大事です。

精製、加工されていない、
自然な食材には、何かしら良い作用があります。

糖質を摂るなら、どんな糖質が良いのか。
食物繊維や発酵食品と腸内環境の関係。
動植物がもつ抗酸化パワーをいかにおいしく活用するか。

大自然の中で、五感を通じて、
ヒトの消化管機能に適応したサイエンスとしての食と、
人間の文化的営みによって誕生した文化的、情緒的な食の融合を
いかにスマートに実現するかを考える取材となりました。
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こちらは
りんご農家さんのお宅で飼われている
やぎのめーこ。
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そして取材旅行の最後に、
ノルディックウォーキングをして東京に戻りました。
食べたら動く!この基本も大事ですね。
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