管理栄養士のローカーボ・キッチン

糖尿病と糖質制限食

11月14日は「世界糖尿病デー」です。
http://www.wddj.jp

世界中の各地で、観光施設や著名な建造物などが
青くライトアップされるイベントでも有名になりましたね。

現在、世界の糖尿病人口は3億8700万人と言われ、
2035年には約6億人に達すると試算されています。
中でもアジア・太平洋地域の患者数の増加は深刻で、
2014年は1億3800万人と全世界の約1/3の糖尿病患者が
この地域に集中しているそうです。
日本もしかり、ですね。
日本では、
糖尿病と強く疑われる人と
可能性を否定できない人の合計は約2050万人に上り、
早急な対策が迫られている、とのこと。

投薬に頼りすぎないで血糖コントロールを行うなら、
カロリーではなく、
血糖値を上げる栄養素である
糖質の摂取量のコントロールが欠かせません。
つまり、
食で糖尿病の治療や予防を行うなら、
糖質制限が欠かせません。

しかし、
糖質制限による血糖コントロールは、
糖尿病の治療や予防に役立つ重要な一要素にすぎません。
必要条件ですが、それだけでは十分ではありません。

糖質の摂取量を控えれば、
リアルタイムに高血糖を防げます。
それだけです。

高血糖の状態が長く続いていたとしたら、
尿中に排泄され不足しているであろうミネラル、
とくにマグネシウムの補充は重要です。

マグネシウムは筋肉の収縮にかかわるミネラルであり、
不足すると、
まぶたのピクピクや、手足のしびれ、けいれん、
こむら返りなどが起こるほか、
不整脈や心臓発作をおこしやすくなります。

また糖質制限して何を食べるか、というとき、
外食や出来合いの惣菜ばかりで、
塩分(ナトリウム)の過剰摂取をしてしまうとしたら、
さらに、カリウム不足にも拍車がかかります。
カリウムも筋肉の動きにかかわるミネラルなので、
やはり、心不全につながります。

マグネシウムの不足は、
牛乳などカルシウムしかふくまない
乳製品の常食や過剰摂取があれば、
さらに拍車がかかるため、
乳製品を控えていくか、
マグネシウムもあわせて摂取する栄養アプローチもあわせて
行っていかなくてはなりません。

マグネシウムやカルシウムは、乳製品ではなく、
和の乾物にバランスよく含まれるのが特徴です。

たとえば、
シラス干しや干し海老、イワシの丸干し、
乾燥わかめ、切り昆布、干しひじき、
大豆製品全般、
そして、ごまなどの種実類に含まれます。

カリウムも同じく、
海藻や大豆製品に、魚介に含まれます。

亜鉛も、
糖尿病の方は不足に注意しておきたいミネラルです。
亜鉛は、インスリンの構成成分です。
亜鉛は、肉や魚介に含まれるミネラルです。

糖尿病の方は、
主食、甘いもの、醸造酒などの重ね食べや、
運動不足(加齢)に気をつけるだけでなく、
魚介、大豆製品、海藻など、
塩化ナトリウムまみれでない、
加工されていない、
シンプルなおかずの不足がないか、
という視点も、
治療、そして予防のためにも、
大切な視点になるかと考えます。

そして、糖尿病の治療で重要なのは、
糖質制限という血糖コントロールに加え、
失われがちなミネラル不足を補うことに加え、
将来的に、
網膜症や腎症によって、失明や透析を避けるために、
ビタミンEやEPA、DHAも積極的に摂取し、
血管への負担をできるだけ改善させることも
欠かせないアプローチです。

糖質制限の実践にかんしては、
糖質を制限することだけにとらわれれば、
肉だけ食べればいい、
という実践方法も糖質制限と言えてしまえますが、
糖尿病の治療に欠かせない栄養素や、
人体に必須の栄養素を考えた場合、
EPA、DHA=魚の摂取は非常に重要です。
もし、魚が食べられないなら、
EPA、DHAはサプリメントで入れていくしかない必須栄養素です。

そして、
糖尿病の予防という観点からみれば、
健康診断などで行われる血糖値の測定は、
空腹時ではなく、
糖質摂取後に行うのが良いか思います。

随時血糖測定器リブレの登場で、
糖尿病と診断されていなくても、
玄米ごはん1膳(150g)食べれば、
食後血糖値が200mg/dlを超えるなど
文字通り、
どんな糖質をどれだけ食べれば
血糖値がどこまで上がるのか上がらないのかが、
一目瞭然になりました。

糖質制限がようやく広がってきた今こそ、
糖質量だけに踊らされるのではなく、
安価で手軽で便利な外食や中食につきものの
タンパク質、ビタミン、ミネラルの不足に関しても、
対策をとっていく必要があります。

そしてそれが
糖質であっても、タンパク質であっても、脂質であっても、
過度に加工、精製された食品(商品)ではなく、
できるだけ自然な、
生命力ある食材を選んで購入し、
シンプルに調理して、
手間なく毎日の食卓に取り入れていくという、
食事を面倒がらない価値観も、
食で健康を叶える上では、
もっとも大事なことではないかと考えます。
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コメントコメント


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そもそもなんで糖質制限が世にここまで浸透したかは、糖質さえ摂らなきゃ、痩せるし、血糖が落ち着き健康になるという単純さと、これしか食べないダイエットと比べ、糖質以外でなら何食べてもオッケー的な大雑把さと、飽きがこないところにあったのだと思います。先生のお話である糖質の制限だけが=健康とは言い切れないとの警鐘は、その通りです。しかし、そもそも食事に気をつけなければいけない人ってのは、もともと食事にあまり興味がない。料理しない。できない(技術的、時間的、興味がない、などから)方々かと。そんな方々にも、広く浸透した糖質制限は、前述の通りその手っ取り早さからでした。歴史上、ここまで食にズボラさんでも浸透したダイエット(ここでいうダイエットとは、本来の食事療法の意味)はないかと思います。糖質制限を幹に、先生が提唱する、マグネシウムや亜鉛などの枝葉は、とても重要ですが、正論だけでは、本来食事を改善すべき世のズボラさんは、着いて来ません。料理や食材に興味がない方々への啓蒙の一環として、先生が文中に触れられた、サプリメントのより普及化が大事かなと。妊婦が当たり前のように、葉酸のサプリメントを飲むようになったように一般の方が当たり前のように、朝から、サプリメントを飲む絵が日常になればと思います。ビタミンC、必須アミノ酸、脂肪酸は、ヒトでは作れないからぜひサプリメントでとマスメディアで訴え続ければ、葉酸と同じくらい、なーんの、栄養の知識も興味もない方にも浸透するはずです。

いのうえまきこ | URL | 2017/11/12 (Sun) 09:03 [編集]


Re: タイトルなし

いのうえまきこ さま
そうですね、、正論だからと、それが広がるかというと、
それはまた別の話ですね、、。
食や栄養に限らず、
正論だからこそ隠されてしまうこともあるかもしれません。
わかっている食と栄養の科学に関しては、
広く、お伝えできたらと考えています。
わたしもずぼらなので、
できないことだらけですが、、、。

tamami oyanagi | URL | 2017/11/17 (Fri) 11:01 [編集]


ズボラとはいえ健康的な食事をしたい、またはしていると認識したい、やっぱり太りたくない、格好良くありたいと言う意識が高めな方々が、大好きなのが、ウンチクです。先生がおっしゃる栄養理論には、矛盾がなく、きちんとした着地点のあるお話なので、意識高めの方を良い意味で引き寄せるには格好です。今後、よりやりやすく、ちょっと賢くなれる(なった気になれるだけでも…)ようなダイエット法をガツンと見出していただきたいのです!例えば、乾物を詰め合わせた亜鉛マグネシウムカルシウム三点セットとか…。サプリメントみたく食品の栄養素別パックがあれば便利だなあと。栄養の正論が、より実現化しやすく、広く浸透し、今の子供たちが、簡単に栄養のバランスが取れた食事ができる未来が来るといいなあと常に思います。

いのうえまきこ | URL | 2017/11/18 (Sat) 10:45 [編集]


Re: タイトルなし

いのうえまきこ さま
コメント有り難うござます。
「栄養の正論が、より実現化しやすく、広く浸透し、今の子供たちが、簡単に栄養のバランスが取れた食事ができる未来が来るといいなあと常に思います。」
本当に、同感です。そうですよね。正しい理論をいかに実現化できるか、とても大事ですよね、、。
より良い情報発信ができるよう、鋭意、尽力して参りたいと思っております!
これからもどうぞよろしくお願い致します!

tamami oyanagi | URL | 2017/11/20 (Mon) 07:47 [編集]


こちらのコラムと話がそれますが、先生の腸の健康が、健康の鍵となるお考えが大好きです。腸の健康を思う気持ちがあると、今まで漠然としていた発酵食品の大事さとか人工甘味料の怖さとかがより姿形となって、あらわれた気がします。ダイエットと言うと、カロリーとか糖質とか栄養素の話ばかりですが、臓器をいたわる食べ方をしてこそ本当の意味のダイエットなんだよなあと思いました。先生には、腸や肝臓をいたわる食事、もしくは、腸や肝臓に悪いとされる食事、食生活への警鐘に関しさらに深く触れていただきたいです!

いのうえまきこ | URL | 2017/11/20 (Mon) 21:01 [編集]


 
 

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